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5Sを共通言語としグローバル経営を

hayashi
林 徹彦
現場型改善コンサルタント

大手電機メーカに24年間勤務し、開発設計、品質保証、海外生産委託先の指導に従事する。
2005年に独立し、中国華南地区にて製造業向けに品質改善、経営革新コンサルテーションを行っている。


◆ 中国5S的事情 
いまさら説明するまでもないが、5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾によるマネジメント手法のことだ。これらの5項目をローマ字表記すると全てSで始まるため5Sと呼ばれている。

当然日本発のマネジメント手法だが、海外でもそのまま「5S」で通用する。

中国の工業団地でも、工場に5Sの標語を掲示してあるのをしばしば見かける。日系企業ばかりでなく、中華系企業も5Sを取り入れている。Sが五つでは不足と見え、セーフティ、スピード、スマイル、サービス、サティスファイ(満足)、作法、節約、習慣、始末、などを追加している企業もある。

中国のアパートの近所にある食堂には、Sが付くスローガンが10個も貼り出してあった。しかしSの数が多い方が良い、というわけではないようだ。この食堂は、今はない。残念ながらつぶれてしまった。Sの数だけではだめなようだ。経営者のホンキ度が重要だ。

ところで5Sを導入されている工場の経営者から話を伺うと、5Sを継続させるのが難しい、という悩みが意外と多い。つまり5Sを導入した当初は、職場が見る見る整理・整頓され気持ちよい環境になった。しかし毎日整理・整頓!と叫んでいないと、あっという間に元に戻ってしまう。
しかし本当の5Sが出来ていれば、継続しないはずはない。本来5Sは継続されるように仕組みが出来ている。

日系企業の経営者にとって、5Sは当たり前のことでありすぎて、本当の意味を理解していないのではないかと感じている。5Sを軽視しているのではなさそうだが、本当の意味を理解せずに、自分で5Sは出来ていると思い込んでいるのであろう。

中華系企業の経営者は、トヨタ生産方式(TPS)とか、リーンプロダクション(精益生産)には強い興味を示すが、5Sは、ああ知っているよ、という態度だ。しかし5Sが実践できていない工場にTPSを導入するのは不可能だ。

◆5Sの勘違い
5Sが出来ていると思い込んでいる経営者、経営幹部の勘違いを上げてみよう。
あなたがひとつでも該当するようならば、要注意だ。

1. 5Sは従業員主体の草の根活動
必要なモノと不要なモノを区別し、不要なモノを捨てる、というのが整理の定義だ。完成品倉庫にある、いつ売れるとも分からない製品在庫や、余分に買いすぎてしまった部品倉庫にあるデッドストックを、倉庫の従業員が自分の判断で捨てることが出来るだろうか?

躾とは親が子供にするものだ。従業員が自分自身に躾をするというのは矛盾している。経営者・経営幹部が躾に取り組まねばならない。

2. 明日はお客様の監査だから現場に5Sをしっかりしろと発破をかける
5Sはお客様のためにするものではない。5Sとは、その活動により品質、コスト、納期、安全、環境、士気を改善し、業績に貢献するのが目的だ。

3. 清掃は何のためにする?
ある工場の経営者は非常にきれい好きで、作業現場が汚れるのが我慢できない。50人の従業員の内2名は清掃専門の作業員だ。従って作業現場はいつもぴかぴかである。しかし設備についている潤滑油の点検窓は誰も清掃をしない。そのため窓が曇っていて潤滑油がどれだけ入っているか見ることが出来ない。
清掃の大きな役割は、保守点検である。

4. 清潔の意味は?
清潔を国語辞典で引くと、清潔な身なり、清潔な人柄、という意味が出てくる。これをそのまま5Sの清潔の意味として理解している例が非常に多い。ある企業の5S巡視のチェックリストには、清潔の項目に、「帽子、作業服、作業靴の着用が正しいか?」「頭髪、爪の長さが適切か?」という項目があった。これは5S本来の清潔の意味ではない。5Sの清潔の意味は、整理・整頓・清掃の情況を維持するよう改善することだ。

5. 5Sが維持できない
5Sの中には、清潔・躾という5S維持のための仕組みが初めから組み込まれている。これをうまく活用できていないので維持が困難となる。経営者・経営幹部はホンキで従業員の躾に取り組むと共に、整理・整頓・清掃が維持できるように改善を繰り返さなければならない。

◆5Sで強い企業風土を作る
5S活動を通して、品質、コスト、納期、安全、環境、士気を改善する。そしてその活動そのものを企業風土とする。これが本来の5S活動だ。

ある超優良企業は、M&Aにより次々と企業を買収し業態を発展させている。この企業は、買収した企業に5S活動を展開している。企業理念や経営方針を共通化するだけではなく、5Sにより企業風土から統一を図ってゆくという考えであろう。

海外に生産工場や販売拠点を展開している企業は、5Sを基軸として本社、生産拠点、販売拠点の文化統一を図ってはいかがだろうか。異なる言語・文化の従業員が働く場所で、5Sという共通言語を作るのだ。

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